ぼうけんのしょ:ただのおたくのようだ

BLゲームや乙女ゲームの感想。R18もあり

蝶の毒、華の鎖・瑞人ルート

 今回は乙女ゲームのプレイ感想です。十年近く前に発売されたにも関わらず未だに名を聞く有名タイトルですよね。前々からやりたいな~と思っていたのでやっとできて嬉しい。18禁なので大人の方だけ読んでね。初めての攻略キャラであらすじも書きつつなので長いです。

 舞台は大正、ヒロインは貧乏華族のお嬢様。名前は野宮百合子。物語は彼女の誕生日を祝う夜会から始まります。野宮家は主に母・繁子の散財で借金まみれ。兄の放蕩とお金の作り方を知らない父の責任もあるとは思いますが、とにかくそんな財政事情を全く顧みないような豪勢なパーティーを開きます。百合子はこんなことにお金をかけてる場合じゃないのにと不安になりますが、それもこれもなるべくいい条件の相手と百合子が結婚できるようにという父の心遣いでした。

 後々大事になってくるのでここで書いておきたいんですが、序盤では百合子の目から見てもプレイヤーの目から見ても野宮夫妻は「感情的な母と穏やかで愛情深い父」に移ります。家を存続させるためとはいえ娘をどうにかお金持ちの元に嫁がせようとヒステリックにまくし立てる母とそれを宥める父、という図なんですね。そこにふらりと兄である瑞人がやってきます。

 「滴るような美しさ」と表現されているとおり、本当に美しい男性です。浮世離れしたところがあり花街通いもやめない少し困った兄だけど百合子を見る目はとても優しくて愛情に満ちています。瑞人は父が女中に産ませた子で、つまり百合子の異母兄と説明が入ります。百合子の母・繁子と血の繋がりはなく傍から見ても折り合いが悪そう。何かと複雑そうな家庭だなとその時は思っていました。

 

 本編の流れをなるべく端折って書くと、夜会にはならず者たちがなだれ込んできて父は殺され、母は殺された父が握らされていた桔梗の花を見た途端に様子がおかしくなりそれから後を追うように亡くなります。母のベッドにも誰がやったのかいつの間にか桔梗の花があちこちにまかれていたのを不審がる百合子。屋敷の庭は庭師である真島の手によって美しく整えられているけれど桔梗はどこにも植えられていないのでなおさら不気味です。まるでミステリーのように誰かが何かしらのメッセージとして置いている可能性が高いと百合子は考えます。

 

 もう野宮家の人間は瑞人と百合子のたった二人。不幸続きの上、日々家は傾いていくばかりだというのに花街通いをやめない瑞人に詰め寄った百合子は兄の悲しい心の内を知ります。

 母・繁子は自分の子ではない瑞人を愛することはありませんでした。幼い頃から母に疎まれ女中たちに育てられてきた瑞人は、成長するにつれ与えてもらえなかった愛情をよその女性に求めるようになります。その場所が花街だったというわけです。

 瑞人は別に花街で真実の愛といったものを探しているのではなく、束の間でいいから肌を寄せ合って心を癒やしてくれる時間を欲しているようでした。馴染みはいても一人の芸妓に夢中になることもないようで、たとえが悪すぎるんですが使い捨てのホッカイロで温まって寒さをしのいで、また寒くなってきたら新しいものを……という印象です。本当にたとえが悪い。すみません。女性が使い捨てという意味ではなくて数時間で効果が切れちゃうけどまた新しいものを使えばいいという風に捉えてもらえるとありがたい。全然言い訳になってないな。

 

「まがい物でもいいんだよ。その瞬間だけ僕を騙してくれれば。そりゃ本物の愛があればいいけど、そんなものどこにもないだろう」

 

 そんなことを言う瑞人に百合子はそんなことはない、自分は本当にお兄様を愛していると伝えるのですが、瑞人は「お前は花街の女たちと同じものを僕に与えられるの?」と問います。同じものというのはただそばにいて孤独な時間を埋めるだけではなく体の関係も含めて。百合子は決心して頷きます。

 ここの瑞人の演技がすごい!!感想を書くために改めてプレイしてて気付いたんですが百合子が頷いた後、瑞人は「……お前は本当に可愛い妹だね」と百合子に囁きます。テキストではそうなんですが実際に聴こえるボイスは

「お前は本当に可愛い妹……だね」

 なんです。まるで妹と呼ぶのを躊躇っているような。妹を誰よりも愛しているはずなのに百合子を妹と認めたくないかのような、そんな迷いを感じさせる間がある。声優さんって本当にすごい。

 

 話がずれました……。百合子がそう言ったからといって瑞人が百合子を抱くというようなことはなく、なるべく花街には行かないようにすると約束してその場は終わります。ここで百合子の心境も変わってきていることがわかります。花街に行く兄が芸妓を抱きしめて夜を過ごしていることを想像して嫌な気持ちになっている。それが一人の女性としての嫉妬なのかはまだはっきりしたわけではないんですが。

 屋敷にやってきた鏡子夫人(※母・繁子の古くからの友人で大金持ちの奥様)に自分の両親が深く愛し合っていたと聞いた百合子は違和感を覚えて瑞人に話を聞きに行き、そこで新しい事実を知ることになります。

 父は決して穏やかな性格ではなく、母よりも激しい気性の持ち主だったと。滅多にそんな一面は見せなかったし百合子の前ではなおさらそうだったのでお前が知らないのも仕方ないと言われ、百合子は不安を募らせます。今まで当たり前だと信じてきたものが実はそうではなかったような。それは両親だけでなく、瑞人も同じでした。

 鏡子夫人に招かれた食事会の帰り、口直しに寄った料亭で寄った瑞人は百合子を抱き締め「芸妓と間違えないで!」と彼女の怒りを買います。酔うと私が妹であることも忘れてしまうのかと嘆く百合子に瑞人は自分の本当の生い立ちを語るんですね。

 

 それは瑞人は百合子の父が女中に産ませた子などではなく、母の遠縁である白川伯爵という人物が野宮家の女中を無理やり孕ませた末に生まれた子であるということ。百合子の父は瑞人曰く「身寄りもなく自分では育てられないという女中に同情して」自分を引き取ったのだと瑞人は静かな口調で百合子に伝え、その時初めて百合子は兄の悲しみを知ります。

 兄がある時期から自暴自棄になった理由もフランス留学も夢を絶たれたからではなく、自分の本当の出自を知って自分が何者か分からなくなってしまったから。それまでも母に冷たくあしらわれ愛のない寂しい生を送ってきた瑞人の繊細な心に大きなヒビを入れてしまうには十分だったでしょう。

 百合子は自分を偽物だという瑞人に「お兄様は私の本当のお兄様」とすがるように訴えるのですが、ここで瑞人はその気持ちをありがたく思いながらも百合子に「僕はお前のことを本当の妹だと思ったことは一度もない。ずっと昔から一人の女性として愛していた」と告白します。動揺して二の句が告げない百合子の返事を待たずに瑞人は席を立って先に部屋を出てしまったので百合子はとても迷い苦しめられます。

 瑞人から確かに一人の女性として愛していると言われたはずなのに、瑞人は忘れてしまったように百合子に縁談の話などを振ってくる。混乱している百合子に、父は自分の妻に嫉妬をさせたくて瑞人を引き取ったのだという話を瑞人本人から聞かされます。

 死後に変わっていく両親へ抱いていた印象、じわじわと見えてくる別の顔。「深淵を覗き込むような」という文章のとおり、百合子は怯えと恐怖を感じていたでしょう。母は自分の兄を慕っていたので父は激しく嫉妬しており、彼が病で亡くなると途端に満ち足りたように穏やかな性格になったと。それが百合子の生まれたばかりの頃だったので、百合子は優しい父の顔しか知らなかったのです。

 話は戻り、瑞人は「この前は酔っていたんだ、許しておくれ」と自分の告白をなかったことにしようとしますが長年ともに過ごしてきた百合子にはあの時の兄の言葉は本物だと分かっていました。そして数日後、百合子に求婚している斯波が現れたことで瑞人も覚悟を決め、百合子の気持ちを問います。自分と斯波のどちらを選ぶのかと。お前の気持ちを聞かないと思い切れそうにないから……と。

 

 瑞人の苦悩を思うと悲しくなってきます。幼い頃から百合子だけが瑞人にとって救いで光だった。一度は異母妹なのだからと自分の中に芽生えた愛情を押し殺したけれど、実は血が繋がっていなかったことを知って僅かに希望が芽生えた。しかし出生について知ってしまったことで自分が何者なのか分からなくなってしまった。

 瑞人について「地に足のついていない」「浮草のような」「浮世離れした」というような表現が多く出てきますが、私は本人の性質というよりも地に足をつけたくてもひと所に留まりたくてもできなかったのだと思っています。自分という人間の存在意義があやふやになってしまったのだから無理もないでしょう。

 

 斯波ではなく瑞人を選ぶと二人は想いを通じ合わせ次の展開に進んでいくのですが、ここからはエンディングごとに書いていきたいと思います。BADエンドから順番にいきますね。ちなみにエンディング名はゲームの中に出てくる公式のものです。

 

【空虚な明日END】

 上記の二択で斯波を選ぶと迎えるエンディングです。百合子は「自分が早く結婚してしまった方が兄を苦しませずに済む」と判断して斯波と結婚。しかしその選択は当然誰も幸せにしなかった。斯波はいつまでも心を開かない百合子の態度に傷付き、次第に乱暴になっていく。そして斯波だけではなくもうひとり、大切な人を傷付けていることを百合子は知っている。けれど何も感じたくない、もう何も考えたくない――そう願う百合子の心の内で幕と閉じます。

 瑞人をこれ以上苦しませたくないという気持ちも本物でしょうが、百合子の選択にはこれまで実の兄と信じて育ってきた男性と一緒になることは許されないから別の男性と結婚したという側面が確実にあった。瑞人を愛し続ける覚悟ができなかったこと、自分の気持ちに嘘をついたこと、それを兄のためだと誤魔化したこと。百合子はそれらの罪を背負ってこれから生きていくしかないのだと思わせる空虚なエンディングでした。

 

【秘密の共犯者END】

 かなりエグい!ので苦手な人は読まないでください…頼んだぞ…。

 

 ~ワンクッション~

 

 鏡子夫人の知人が妓楼の女将をやっているのでそこから伝わってきた話が「うちの芸妓のところに瑞人さんが忘れ物をしたから取りに来てほしい」というものでした。百合子は兄を行かせたらまた花街通いが始まってしまうかもしれないと危惧し、また他の女性に会わせたくないという嫉妬心から使いの者をやろうとします。幼馴染の秀雄、使用人で家令の藤田、同じく使用人で庭師の真島という三択です。これは秀雄を選んだ場合のエンディングになります。

 あの……本当にエグい。きつい。つらい。百合子と瑞人は体という意味でも結ばれる(これはBADエンドだけの展開ではなく瑞人ルート共通)んですが、瑞人と部屋で情事に耽っているところに秀雄が駆け込んできます。秀雄は「実の妹を手込めにするとは」と瑞人に怒り狂い、羞恥と混乱で動けない百合子に衝撃の事実(この言葉何回使うんだ……)をぶつけます。瑞人は男娼をやっていると。

 瑞人は静かな口調でそれを認めます。男娼は債権者に言われたことだがもうそうせざるをえない状況であり、瑞人は百合子との暮らしを守るためにやっていると言います。当然秀雄が納得するわけもなく、百合子を瑞人と引き離すために無理やり連れ出そうとしたところで、瑞人が隙をついて秀雄に怪しげな薬を嗅がせ気絶させる……ああ……。

 縄(なんでそんなものがあるんだよ……)でベッドに秀雄を括り付けた瑞人は「彼を僕たちの共犯者にするんだよ」と言って動けない秀雄の上に百合子を跨がらせて性交させ、媚薬を使って自分も同時に百合子の中に挿入します。こんな行為に巻き込まれたら秀雄は絶対に自分たちのことをばらせなくなるから、と。

 

 巻き込まれた秀雄はたまったもんじゃないと心底思いますが、瑞人が壊れてしまった理由を考えると複雑です。自分の意志でやっている女遊びと半ば脅されてやらざるをえない身売りは本人の心情も行為の内容も全く違うでしょう。瑞人は自分が百合子と同じ父の子ではないと知るまで「僅かばかりだけれど子爵の跡継ぎとしての誇りがあった」と言っていた。それを失っても華族である誇りはなくしていなかったと思います。

 瑞人の考える華族の誇りとは、家を守り存続させるという母・繁子のような体面重視のものではなく凛とした心の佇まいや魂の清らかさといったような精神的なものだった。だからこそ成金の斯波に百合子を嫁がせようと繁子が躍起になっていたところに「家を守るためだけに妹を金で売り飛ばすようならそんなものなくなってしまえばいい」と声を荒げて言い切ったのでしょう。

 心に華族としての誇りを持ちながら夜な夜な男娼をし、女たちに金で体を弄ばれてどれだけ瑞人が傷付いたか。それは家を失おうが心は高潔であろうとするのが華族というものだという信条を持つ瑞人の精神を蝕むのに十分だったでしょう。だんだん心が壊れて狂気に向かっていくのも止められない流れだったと思います。秀雄に一生消えない心の傷を残していい理由には勿論なりませんが……。内容のエグさもさることながら、本当につらくやるせない気持ちが後を引くエンディングでした。

 

【蔵の中でEND】

 忘れ物を藤田に取りに行ってもらうパターンです。短めですがめちゃくちゃ不穏です。

 一度関係した瑞人と百合子はどんどんエスカレートしていき、よく瑞人が昼寝をしていた蔵の中にこもって情事に耽るようになります。ある日いつものように二人が蔵で抱き合っていたら蔵の前に誰かがいる気配を感じ、慌てて百合子と瑞人は離れますがすぐに錠前の落とされる重い音が響きます。閉じ込められてしまった二人は夜になれば誰かが気付くだろうからととりあえず身を寄せ合って待つのですが、蔵の二階の窓が明るくなっているのを見て何者かが屋敷に火をつけたことに気付き、そして自分たちが出られないこと、つまりここでこのまま死ぬしかないことも悟ります。少しの沈黙のあと向き合った二人はしっかり抱きしめ合い、激しく性交しながら火事の中で……という結末。

 誰が蔵の前に立っていたのか、屋敷に火をつけたのかというのはおいおいわかるんですが……思えばこれが初の瑞人が死ぬエンディングだったなぁ……。これから何度もね……うん……。次行きます。

 

【つがいの蝶にEND】

 私は瑞人のBADエンドの中ではこれが一番好きです。真島に忘れ物を取りに行ってもらうと、後日百合子と瑞人の二人で銀座の街を歩いている時に会った妓楼の女将からとんでもない話を聞かされます。女将が言うには以前真島にそっくりな男を花街で見たことがあり、しかもその男は阿片の売人の頭だというのです。ここで「真島に直接聞く」「内緒で調べる」と二つの選択肢が出ますが前者を選びます。

 屋敷に帰って藤田に真島を呼ばせると彼は否定しますが、そんなに自分に似ている男が悪事を働いているなら屋敷に迷惑がかかるかもしれないから明日にでも出ていくと言い出します。百合子は止めようとしますが「どちらにしろ庭師を置いておく余裕はないから真島のためにもいい機会だと思います」と言う藤田の言葉を聞いて、百合子は真島をそのまま追いかけることはしませんでした。もう給金も払えないような場所に留まらせておくよりもいいのかもしれない、その方が真島のためになるのだと自分に言い聞かせて。

 その夜なかなか寝付けなかった百合子は瑞人の部屋に赴き、二人で寄り添っていると唐突な爆発音が響き、屋敷は炎に包まれました。唯一の逃げ道だった百合子のバルコニーもすぐ下の庭全体が燃え盛っており、助からないことを悟った瑞人は百合子と自分の部屋に戻り、二人で瑞人が引き出しの中に忍ばせていた薬を飲んで心中します。

 瑞人がそんなものを持っていたことはずっと前から彼が死にたいと願っていたことの証明に他ならず、それをやっと結ばれた妹とともに使わなければいけない運命の残酷さ、これから死に向かおうとしているのに百合子に優しく語りかける瑞人の優しい声、すべてがひどく悲しく心に響いてきます。でも悲しいのに美しいから余計に泣けてくる。ここの瑞人の台詞は私が書いた文章を読むよりぜひ実際にプレイして聞いてほしい……。次で最後です。この時点で6000字超えてて本当にすまない……。

 

【夜色の髪END】

 ハッピーエンドです。やっと来た!!真島に直接尋ねるのではなく内緒で調べる選択肢を選ぶと辿り着けます。

 使用人の部屋で何か証拠がないか調べていた百合子は偶然落ちた真島の着物から桔梗の花を見つけます。両親の死に深く関わっているはずの桔梗。その意味を深く考える暇もなく外から轟音が響き驚いた百合子が飛び出すと、既に屋敷は炎に包まれていました。それにしてもよく燃える屋敷だ……まだ攻略一人目……。

 外にいたのは真島でした。妙に冷静な真島に百合子は違和感を覚えるけれどそれどころじゃない状況。真島は「姫様を一人にしておくわけにはいかないから一緒に行きましょう」と言うけれど、それがどこを指すのかがこの時点では分からないんですよね……当然百合子は消防組を呼びに行くものと思っているけど確実にそうじゃないので。フルコンした後で感想を書いているので今なら「あそこしかないだろうな」と思えるんですが。

 駆けつけた瑞人により女将の言っていたことが真実で、屋敷に火をつけたのも真島だということが判明します。真島は感情のこもらない平坦な口調で「この屋敷は呪われているんですよ。だから燃やしてしまえば少しは綺麗になるでしょう」と言い、さらに百合子と瑞人が関係していることを知っていると言います。激昂しながら「実の兄妹同士で汚らわしい」「畜生にも劣る」と叫ぶ真島。プレイしながら違和感を覚えました。

 闇の阿片王と呼ばれているくらい悪事に手を染めているなら凶悪な犯罪の内容だっていくらでも知っているだろうし社会の暗部を飽きるほど眺めてきているだろうに、百合子と瑞人の関係に対してこんなに怒っているのが不思議でした。阿片を吸いながら情事に耽る娼館にも商売で関わっているのに近親相姦にだけ過剰とも言えるほどの反応を示す理由が分からなかった。何でだろうな~くらいに思っていたんですがそれはまた別の記事で書きますね。

 

 真島が消え、屋敷も燃えてしまった後。あちこちにあったはずの野宮家の借用書がなぜか一人の人物の元に集められており、しかもすべてが屋敷に送りつけられてきたことであれだけあった借金がなくなったこと。家を失くした二人に瑞人の実の父親である白川伯爵家(彼は既に故人なので正確にはその妹)が手を差し伸べてくれたおかげで瑞人は絵の勉強を再会できたこと。絵を学ぶためにかつて諦めたフランス留学が叶ったこと、それに百合子を同行させたこと。今まで不幸続きだったのが嘘だったように運の良い出来事が続き、瑞人と百合子はパリで二人での暮らしを送れるようになりました。

 貧乏だったのは最初だけで日本では全く売れなかった瑞人の画風がフランスでは高く評価され、生活も豊かになりました。そんなことと比べ物にならないくらい幸福だったのは、言うまでもありませんが二人で生きていきたいという願いが叶ったことでしょう。日本国籍のままでは戸籍上兄妹なので結婚できないけれど、瑞人がフランス国籍を取得すれば結婚だってできるかもしれない。そしてずっと瑞人が欲しかったけれど諦めていた温かい家庭を築くことができるかもしれない……今の幸せと未来の希望をいくつも示してこのエンディングは幕を閉じます。幸せになれて本当によかった……。何個もBADエンドを迎えた後だと余計にそう思えますね。まさか海外に行くとは思ってもいなかったのでびっくりしましたが。

 ずっと愛していた女性と結ばれた瑞人には以前にはない強さが感じられて、これから先二人の前に何が立ちはだかっても瑞人は百合子が隣にいるなら立ち向かっていけると思いました。姿は相変わらず美しいけれど今にも消えてしまいそうな雰囲気はもう消えていて、 そのことも心の底から良かったと思っています。

 

 瑞人ルートはこれですべてクリアです。まだまだ先は長いですが瑞人→秀雄→藤田→斯波→ノーマル→真島の順で攻略したのでその順番通り書いていこうと思います。ここまで長文を読んでくださった方ありがとうございました~!